冷凍設備を持ち、冷凍食品を製造している工場のため、冷却塔で膨大な温水を冷却する必要がある一方で、工場用の蒸気が必要となるため蒸気ボイラーにより水を加熱させる必要がある。
冷却塔の放熱させてしまっている熱を利用して、ボイラーの冷たい給水を加熱させることができればボイラーの消費エネルギーを削減できると考え、多くのヒートポンプメーカーへ問い合わせを行ったが機器コストのみならず工事費も含めたトータル費用が膨大なため、投資回収年月が長期になる試算であった。
弊社にお問い合わせ頂き、MDIのヒートポンプシステムであれば、想定内の費用と投資回収が可能であることになり導入が決定された。
冷却塔の温水を熱交換器に導入して冷却、熱交換器で不凍液を温めヒートポンプへ導入、ヒートポンプは給水をひたすら55℃まで循環加熱をさせることで、冷却塔を冷やしながら、ボイラー給水を加熱し続けることが可能となった。
投資回収は補助金なしで2年であるが縁切り熱交換器の内部が冷却塔水の汚れで日々性能が低下することがわかった。結果的にマルチサイクロンを取り付け、さらにポンプ制御と熱交換器の設計の見直しを行うことで分解洗浄なしで1年間の性能維持が可能となった。
クーリングタワー熱を利用=大型冷凍機の冷却能力UP
ヒートポンプBLACKBOXにて循環加熱50℃まで
軟水タンク(冷たい水道水)
ボイラーへ約50℃の温水を供給 ガス使用量削減
実際の投資回収効果実測結果
•既設ボイラーの燃料コスト(原油換算含む)ボイラー給水20℃を50℃までヒートポンプで循環加温を行う。
給水量12,000t 平均加温30℃=1507GJ、効率0.9として1674GJ(原油換算43.8kL)が必要。
蒸気0.7MPa-水50℃飽和水比エンタルピの差2.55GJ/tから
必要蒸気量656t、蒸気単価6000円/t、(73%重油混焼時)コスト約3,900,000円/年
•本ヒートポンプシステムの年間実測電力量は、7.73kWh/12000=92.76MWh(原油換算23.8kL)であり、電気代15円/kWhであるから、年間電気代=1,390,000円/年
発熱量単純比較で1674/(92.76x3.6)≒COP5.0以上通年維持
•省エネメリット(本メリット計算に、冷却水温度低下による冷凍機メリットは含まず)
削減燃料費年間250万円/年、省エネルギー量20.0kL/年、設備費5,000,000円、投資回収2.0年